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「引き抜き」 日本舞踊【鷺娘】用語

引き抜き[ひきぬき]

舞台上の衣装の変化による演出のことを、「引き抜き」といいます。

 

「引き抜き」には、いろいろな種類があり、その狙いは、大きく分けるとふたつあります。

ひとつは、視覚上の変化を狙ったもので、「かぶせ」「袋かぶせ」などの手法があります。

代表的な場面に、「京鹿子娘道成寺」において、「都育ちは蓮葉なものじゃえ」との詞章で、赤地の衣装から浅葱地の衣装に変わる 「かぶせ」があります。

もうひとつは、それまで身分を隠していたものが本性を顕す[あらわす]・性格が変わるなどの変身を表現してみせる場合に用いるもので、 「ぶっかえり」は、この手法のうちのひとつ、となります。

 

鷺娘では、いくつかの「引き抜き」の技が用いられています。

最初の白無垢姿から、友禅の町娘の衣装に変わるとき、これは「袋かぶせ」と呼ばれる手法が用いられていて、これは、 視覚上の変化を狙った「引き抜き」です。

鷺娘において、もうひとつの特徴的な「引き抜き」は、クドキ・傘尽くしと続いた後、 鷺の精が地獄の責め苦にさいなまれるセメの場面での「ぶっかえり」です。

「ぶっかえり」とは、衣装の上半身部分、糸の先端に付いた玉を抜き、折りたたんであった上半身だけが落ちて下へ垂れて、 帯から裾までを覆い隠すようなかたちになる「引き抜き」です。これは、隠されていた本性を顕し、性格が変わる「引き抜き」となります。