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「チラシ」 日本舞踊【鷺娘】用語

日本舞踊の曲の最後の部分をさして、「チラシ」といいます。

舞楽においても、最後の曲をさして「散楽[ちりがく]」と言い表しますし、地唄[じうた]や箏曲[そうきょく]においても、 その終わりの部分を「チラシ」と呼びますので、日本舞踊における「チラシ」も、ほぼ同意に考えてよいと思われます。

「チラシ」においては、それまで情緒たっぷりに進んできた展開に、一気に締めくくりへと向かって、終曲を暗示させるような、 速いテンポできびきびとした動作に変化していくのが一般的なかたちです。

時代物の日本舞踊では、刀を使用した立回りとなったり、また獅子物においては、独特な獅子の狂いを見せる場面にあたります。

この鷺娘では、鷺の精がそれまでの恋のこころをしっとりと踊る場面から一転し、地獄の責め苦にあう、「セメ」 といわれる場面になるところが、「チラシ」部分となります。

地獄の責め苦にさいなまれる後半が、徐々に極まっていき、最後にはふりしきる雪の中息絶えていく、ドラマチックな幕切れへと向かう、 体力的にも精神的にも、日本舞踊家の技量が問われる部分になるのです。

参考までに、世阿弥は、「急は久しくして(は) 急ならず」と表現しました。

曲のしめくくりには、それまでのしこりをはぐしながら高揚した気分から一転、気をかえて、 華やかにテンポ早く終曲を迎えなければならない、という意味の表現だと言われています。

「チラシ」は、早くから、日本舞踊だけでなく、日本の古典芸能の中で、終曲を迎えるための大事な部分として、定着していた、 と言えるでしょう。